【2024.12.7開催】 公開シンポジウム2024
2024.10.07
2021.12.22
名古屋大学フューチャー・アース研究センター 公開シンポジウム2021
「適応と緩和・脱炭素社会」
1)趣旨:
地球規模の気候変動を踏まえ、日本および中部地域における気候変動と気象災害に対する社会の適応とレジリエンス向上に向けた戦略を考えるとともに、脱炭素社会の構築や温室効果気体排出削減(緩和)に向けた大学の取り組みを広く公開する機会とする。特に、中部地域の関係諸団体(自治体・経済界・マスコミ等)との連携を図り、地域住民との活発な意見交換の場を設ける。さらに、気候変動への適応と緩和に関する名古屋大学と岐阜大学との連携研究を強化する。
2)場所:
名古屋大学環境総合館レクチャーホール + オンライン配信(Zoom)
3)日時:
2021年12月18日(土)13:15~16:30
4)演題:
「挨拶」
名古屋大学副総長 名古屋大学フューチャー・アース研究センター長 杉山 直
【第1部:適応】
「趣旨説明:気候変動にともなう永久凍土融解とシベリア社会の適応」
名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授 檜山哲哉
「樹木年輪の酸素同位体比から見た日本の気候変動と適応の歴史」
名古屋大学大学院環境学研究科 教授 中塚 武
「中部地域の気候変動と気象災害への適応」
岐阜大学工学部附属応用気象研究センター 准教授 吉野 純
【第2部:緩和】
「気候変動下における岐阜県の森林による炭素吸収量の将来予測」
岐阜大学流域圏科学研究センター 准教授 斎藤 琢
「脱炭素社会に向けた技術開発」
名古屋大学未来社会創造機構 教授 則永行庸
【第3部:パネルディスカッション】
「コメントと総括」
岐阜大学地域環境変動適応研究センター/流域圏科学研究センター
東海国立大学機構カーボンニュートラル推進室 教授 村岡裕由
5)共催:
名古屋大学未来社会創造機構
名古屋大学大学院環境学研究科
名古屋大学宇宙地球環境研究所
岐阜大学地域環境変動適応研究センター
岐阜大学流域圏科学研究センター
岐阜大学工学部附属応用気象研究センター
岐阜大学脱炭素・環境エネルギー研究連携支援センター
6)報告:
中部地域のみならず、全国から47名の方々にご参加頂き、シンポジウムは盛会となった。杉山直センター長(名古屋大学副総長)による挨拶と国際的なFuture Earthの枠組みの紹介、および東海国立大学機構の脱炭素社会に向けた取り組みについての紹介の後、名古屋大学と岐阜大学から計5件の講演と質疑応答が各25分程度行われた。講演後のパネルディスカッションでは、「気候変動への対応(緩和策・適応策)を地域で推進する」ことを念頭に、以下3つの観点について議論した。
1. カーボンニュートラルが達成された社会とは?
2. 気候変動への適応が推進されている社会とは?
3. そのような社会を創るために今から準備/実現が必要なことは何か?
これらの問いに対し、各講師(パネリスト)から以下のように多様な意見が出た。
カーボンニュートラル達成のためには、カーボンフットプリントを考慮し、できる限り自国で食料生産を行い、輸送に伴う二酸化炭素排出を抑えるべきである。
次の世代が生きがいを感じながら住みやすい地域や世界に生きていくためには、第一次産業の再構築を行うべきであり、そのための政策実現が急務である。
したがって、カーボンニュートラル達成のため技術開発を担える人材育成を目指すとともに、多様な価値観を共有し認め合う社会にすべきである。
カーボンニュートラルの実現には、大学での研究・技術開発とともに地域コミュニティとの連携が重要である。地域住民がその生活環境を大切にし、楽しめる未来を共に創ろうとすることが大事であり、大学には地域との協力を促進する役割がある。
大学においては地球科学や地理学など自然環境に関する教育を重視し、フューチャー・アース日本委員会が主導して作成する予定の副読本を全国の大学で指定教科書として普及させるなどにより、学生や社会人を対象とした多様な教育に貢献すべきである。
7)総括:
名古屋大学と岐阜大学を束ねる東海国立大学機構は、2021年11月1日に「カーボンニュートラル推進室」を設立し、“知の拠点”として地域の脱炭素化を促してその地域モデルを世界に展開する役割を担う。
我が国が2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、技術イノベーションのみならず、経済社会イノベーションや地域住民との協力が不可欠であり、そのためには人文社会科学から自然科学までの幅広い知見、および多様なコミュニケーションが必要である。
東海国立大学機構では、名古屋大学と岐阜大学が連携して教育研究・社会貢献活動を行うことで、国・地域の政策やイノベーションの基盤となる科学的知見を創出し、その知を普及することを目指す。
名古屋大学フューチャー・アース研究センターは、これらの活動に全面的に協力し、様々なステークホルダーとの対話を通じて、超学際的に、より良い「未来の地球」への道筋を探求していく。